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車が止まったのは大きなマンションの地下駐車場だった。
「ほら、来い」
「あ、あのっ、歩けるので」
「バーカ、靴がない。それにお前は病気なんだから問題ないの。良いから右腕を首に回せ」
言われるまま右手を彼の首に回すと、ひょいっと抱き上げられた。
「……マジ軽いな」
「ごめっ、あ」
「バカ、軽いのはミイのせいじゃないだろ?」
「……」
「エレベータのボタン押せ」
「は、はい!」
とは言ったものの、左手は包帯で吊るされてて、右手は彼の首に回してて……。
「悪い、無理だったな。ちょっとしがみついてろ」
「わっ」
そう言うと、「よっ」とあたしをなんとか片手で抱き上げて、体が浮いた瞬間にボタンを押した。
そして開くドアに乗り込んだ。今度は肩で器用に一つだけあるボタンを押す。
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