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「このビルにはコンシェルジュがいるんだ。そこを通らないと居住区には行けないようになってる」
「……」
コンシェルジュ?
「まぁ、執事とかそんな感じ。部外者が入れないようになってんの」
監視とは、違うのかな?
そんなことを考えてたら扉が開いて、キラキラした光に思わず目をつむってしまった。
「お帰りなさいませ、神坂様」
「あぁ、なんかあったか?」
「いえ、何もお変わりありません」
丁寧なお辞儀に挨拶をするのは真っ黒なスーツを来た、白髪混じりのおじさんだ。穏やかな笑みを浮かべてるおじさんと目があった。
「あー、こいつ俺の親戚。ちょっと病気でね。うちから病院へ通うから」
「そうでしたか。よろしければお名前を」
「あ、えとーー」
「神坂ミイ。見ての通り病弱で怪我もしてるしで学校も休学中。これ以上の詮索は不要だ」
「申し訳ありません、かしこまりました」
丁寧に頭を下げるおじさんの隣を彼はあたしを抱えたまま通り過ぎて、また違うエレベーターに乗り込んだ。
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