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「もしも、俺が居なくて困ったことがあったらさっきのおっさんに何でも頼め。大抵のことは何でもやる」
「……」
どうして? 部下とか、そういうのかな?
「それがあのおっさんの仕事なの。あぁ、名前は雪村。頭が白いから覚えやすいだろ?」
思わず笑ってしまいそうになったけど、先に彼に笑われてしまった。
「で、ここが俺の部屋。降ろすぞ?」
あたしを降ろすと、彼はドアノブに触れた。それだけでピピと音がしてドアが勝手に開いた。
「指紋認証だ。そんな驚くようなことか?」
開いたドアからはだだっ広いリビングが見えた。立派な応接セット、大きなテレビ、ダニングセットもその奥にあって、更に奥には立派なキッチン。とにかく何から何まで立派だった。
「靴はそこでって、履いてなかったな。まあソファにでも座れ」
「……」
すごく高級そうなソファを指差されて、そこまで歩いた。
そこまで行く間も、床にはチリ一つ落ちてない。まるで、新築のお家みたい。
ソファまで行って、ちょっと悩んだ。
こんな高級そうなソファに座ってもいいんだろうか? こういうところに座るのはご主人様の特権で、あたしが座るのはーー。
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