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「……なんで床に座ってんだ?」
「え? あのっ、だって」
「ソファは座るためにあんの! ってか、まあいい。こっちこい」
言われるまま、立ち上がって彼の後ろを歩いた。
「キッチンはあそこ。冷蔵庫の中は好きにしていい。っつってもビールくらいしかなかったな。後でさっきの雪村に持ってこさせる」
「……」
「で、あのドアの向こう側がバスルーム。トイレはあそこと、こっちの部屋の奥。で、ここがお前の部屋」
「……」
彼がドアを開けると、そこにはベッドが一台あるだけ。
「来客用の部屋らしいが一度も使ったことはない。ほしいものがあったら雪村に言え」
あたしの、部屋?
「で、一番奥になるのが俺の部屋。隣は書斎は書斎で仕事部屋も兼ねてるから入るな」
「……」
「いや、入ってもいいが面白いもんは無いぞって話だ」
「……」
「……入りたきゃ入れよ。あ、でも仕事中はだめだ。分かったな?」
コクンと頷くと、「いい子だ」とあたしの頭を乱暴に、撫でた?
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