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「……俺も変わらないか」
結局、そんな都市伝説に踊らされオメガを買ったのだから。
闇オークションの会場は、反吐が出そうだった。出てくる商品には、年端もいかぬ子供が多かった。あとは性奴隷としの若い女、若い男。胸糞悪い以外何物でもなかった。
「さあ、久々のオメガです!」
そして、最後にオメガが出てきたが、俺は何も感じなかった。ショーケースの中にいるのだから、フェロモンも感じない。
いや、何より美しくも可愛くもない女だった。そもそも女と言ってもいいのか? 明らかに発達不全のまだ小娘に過ぎなかったのだ。
「おいおい、これがオメガだって?」
「期待ハズレもいいとこだ」
会場からもそんな声が漏れていた。
「こいつが番だとしても、連れて歩けんな」
そう言って、会場を後にするものもいた。
「ふん、オメガに何を期待してんるだか。アルファじゃないんだ」
そんな声に納得もした。
そして、始まるオークション。彼女の容貌のせいか、金額はなかなか上がらなかった。
「ま、番じゃなかったらまた売ればいいさ」
聞こえてくる声に「あぁ、その手もあったか……」と、思ってしまった。
そして、大して本気でもなかったが、かすかに見えた涙に、思わずボタンを押すと落札出来てしまった。
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