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もちろん、本物の『番』を見たことがないのだから何とも言えないが、『番』というものは本能で理解するものだと記載されていた。
そうなると、間近で見ても本能的に抱きたいと思わないこのオメガは俺の『番』ではないのだろう。
まぁ、都市伝説化してる『番』が、こうも簡単に見つかるはずもないのだ。
「おまえ、名前は?」
そう聞くのに答えない。子供なだけではなく頭もおかしいのか?
そう考える俺にようやく帰ってきた答えは「オメガ」という言葉だけ。
イライラする。完全に粗悪品じゃないか。
「お前、聞いてるのか?」と胸ぐらをつかむと、そいつは気を失った。
「なんだ……?」
もしかして病気までもってるのか?
そう思い、男の持ってきたこのオメガの説明書を手にする。
書いてあるのは性別であるオメガ鑑定書と、年齢。
「なっ、16!?」
彼女は、まだ16歳の子供だった。
その説明書にはオメガの特徴や生理学的なことしか書いてなく、『彼女』について書いてあるのは年齢のみ。出生どころか名前すらそこに記載はなかった。
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