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半眼ではまるで仏のようではないかと言うと、「だからこそ仏様は皆あのようなお顔をなさっているのでしょう?」と返された。この世の美しいものも汚れたものも半分だけ⋯⋯何もかも受け容れようとする事は、何もかも拒絶するのと同じ。
「人は業の深い生き物ですから」
「私はまだまだ修行が足りないと言う事だね」
「西洋の神や聖母は目を閉じている事が多いように思います。己の心のうちにある理想にのみ目を向け、それ故に己を虐げ捧げ⋯⋯目をぱっちり開けているのは天使ばかり」
そこまで言うと、ジェイムズは口を噤んだ。次に私が何を言うのか解っているから。
「貴方は私の天使だよ」
碧い目をぱっちり開けて、真っ直ぐに私を見ていてくれる。時に深く優しく、私を包んでくれる。
「もうっ!」
「最近は睨まれてばかりで生きた心地がしないから、今日は甘やかして欲しいなー」
「貴方が睨ませるんですっ!」
「ごめんごめん」
「もう⋯⋯本当に憎らしい!」
私は貴方が愛おしいばかりだ。
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