Green Eyed Monster

28/32
前へ
/55ページ
次へ
   起きてもまだ不機嫌な私に、ジェイムズは酷く消沈していた。  そんな悲しそうな顔を見せられてもこの憤りは収まらないぞ。そもそも何故みんな私を誰かに託そうとするのだ。自分が見送ってやる、死水は自分が取ってやると言う気概はないのか。誰も彼も私を一人にする事を前提にして。 「旦那様⋯⋯⋯そのお顔は⋯⋯⋯」 「昨夜ジェイムズに虐められたんだ。嘉乃丞も叱っておいてくれ」  珍しく反論もしないジェイムズに、嘉乃丞は「我らの旦那様なのだから大切にするように」とよく解らない説教をしていた。 「目が腫れて……半分しか開いておられません⋯⋯」 「貴方がそうしろと言った通りになった」 「申し訳もございません⋯⋯」  そしてこれもまた珍しく、自分でサイフォンを持ち出し、自分で豆を挽いて、私の好きな苦い珈琲を淹れてくれた。そして自分も苦ーい珈琲に口を付けた。二度と私を泣かさない戒めらしい。  うむ。是非そうしておくれ。  
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加