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「居留地が返還されれば、この町から私達のような外国人はいなくなってしまいますか⋯⋯?」
「自治区がなくなるのだから役人はいなくなるだろうが、この町を愛して残ってくれる人々はきっといるよ。海外との商売は続くのだしね」
「そうですね⋯⋯杏珠様の未来が明るいものであればと思います」
ジェイムズは杏珠の額にキスを落とす。
「大丈夫だジェイムズ。私は命ある限り、家族とこの町を守ってゆく」
「はい」
「その私を見届けるのが貴方の役目だ。忘れないで」
「はい⋯⋯⋯はい、必ず⋯⋯!」
萌え出ずる命
萌え出ずる春
もうすぐ、また花の季節が巡って来る。
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