嫉妬深くて何が悪い。

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   俺の事をちゃんと愛してくれるのは解ってるけれど、だからと言ってこの鼻の下を延ばした顔にはものっっ凄くイライラする。  誰に見せる為なんだか、整えた髪を乱してやりたくて背中から手を回すと、ビクッと体が跳ねた。 「どうしたのかな……?」 「お背中を見ていたら……つい……」 「貴方も支度が」  振り向いたお顔が固まった。俺は知っている。旦那様は下から上目遣いに、しかも陽の光を浴びながら覗き込まれるのが大好きなんだ。シミもシワもどうでもいいと思っていたけれど、このひと月は鶯の糞の洗顔料で顔を清め、入浴の度に米糠に全身を浸し、へちま水やら院長先生に薦められた生薬やらで肌も内臓も磨いて来た。髪も入念に梳かしてさらさらつやつや。ついでに服は香にくぐらせ、密着すればそこはかとなく花の香りが匂い立つようにしてある。 「貴方は今日も美しいね」 「よして下さい。こんな年になって……(努力してんだ努力)」 「出会った頃と少しも変わらないよ」 「口ばっかり……憎らしい……(十九の頃より磨いたわ)」 「まだ時間があるね」 「ぁん……(ヨシ掛かった)」  
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