76人が本棚に入れています
本棚に追加
おいコラ貴様。そこの若人。なんだその挑戦的な目は。挑発的なその態度は。こう見えて俺は丹羽三原一刀流師範代だぞぉおおぉっ!いやそれは関係ないか。
弥助親分も岳親分も、何故か三原様までが慌てふためき、井作を席まで引っ張って行った。ふと旦那様の方を見ると、すすっと目を逸らされた。
……………ほう。ほうほうほう……そうですか、そうでございますか。
そっちがその気ならこっちにも考えがあるぜ。
嫌味なほど完璧に、貴方の従者として秘書としての心意気を見せつけてやる。俺がこの十年以上、血の滲むような努力と信念で手に入れた紳士としての振る舞い、機知に富んだ話術、そして全てを包み隠す柔和な笑顔でこの桜見の会……場を回してやるってもんだ。
「フォール先生……何故かここでは嵐が吹いているような……」
「何を仰いますか志月様。散り急ぐ桜の花弁がそのように映っているのでございましょう」
「そういうものでしょうか……」
「えぇそうですとも」
最初のコメントを投稿しよう!