嫉妬深くて何が悪い。

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   おいコラ貴様。そこの若人。なんだその挑戦的な目は。挑発的なその態度は。こう見えて俺は丹羽三原一刀流師範代だぞぉおおぉっ!いやそれは関係ないか。  弥助親分も岳親分も、何故か三原様までが慌てふためき、井作を席まで引っ張って行った。ふと旦那様の方を見ると、すすっと目を逸らされた。 ……………ほう。ほうほうほう……そうですか、そうでございますか。  そっちがその気ならこっちにも考えがあるぜ。  嫌味なほど完璧に、貴方の従者として秘書としての心意気を見せつけてやる。俺がこの十年以上、血の滲むような努力と信念で手に入れた紳士としての振る舞い、機知に富んだ話術、そして全てを包み隠す柔和な笑顔でこの桜見の会……場を回してやるってもんだ。 「フォール先生……何故かここでは嵐が吹いているような……」 「何を仰いますか志月様。散り急ぐ桜の花弁がそのように映っているのでございましょう」 「そういうものでしょうか……」 「えぇそうですとも」  
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