嫉妬深くて何が悪い。

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   志月様は、やはり志弦様とよく似ている……お従兄弟同士はむしろご兄弟より似通う事もあると教えて頂いたけれど。 ───………志弦様  志弦様は決して余所見などしなかった。『父上の庇護下にある自分が、こうして貴方と添えるだけでも身に余る程の幸福だ』と、いつも俺を宝物のように扱い、たくさん絵を描いてくれて、誰が入る隙もないほどの愛情を注いでくれた。俺もそれに応えようと精一杯の愛情を傾けた。たとえままごとのように幼く、儚く脆くても……精一杯。 「フォール先生?」 「……さ、どうぞ一献」  志月様は盃を空けると、両手で酌を受けて下さる。手が荒れて……研究室で薬品にかぶれてしまったのだろうか。 「季節の変わり目はいつもなんです」 「よく効く膏薬を持っています。後でお分けしましょうね」  志月様は盃に口をつけ、それからふう、と息を吐いた。 「このように見事な桜の下で見る先生は、本当に天使のようです。銀の髪が木漏れ日に透けて……碧い瞳がまるで宝石のようで……」 「いつの間にそんなに口がお上手になられたんでしょう。学院に入られたばかりの頃は、いつも小鳥の雛のように教室の隅にいらしたのに」 「フォール先生が、みんなで歌っているうちに仲良くなれるからと、私と弟を音楽教室へ誘って下さいました。お陰で私達は学院に居場所を得る事が出来ました。先生は私達兄弟の恩人です」 「身に余る光栄でございます」  
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