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「あらジェイ。お酒の席から逃げて来たの?」
「お座敷遊びはよく解らない……」
入れ替わりに和喜様があちらへ移ってへそ踊りを始めたけど、あれは楽しいのか?京都の大学で流行中なのか?取り敢えず風邪を引かなきゃいいなぁ……
「杏珠様はよく眠ってるね」
「陽射しが柔らかくて温かいもの」
本当にこうして見ているとエマが生まれた頃にそっくりだ。あんまり可愛い穢れのない寝顔に、絶対に俺が守ってみせると誓った。エマだけは守り抜くんだと。
だけど、それも旦那様の庇護がなければ敵わなかった。俺達兄妹を我が子のように守って下さったのは旦那様だ。ジジィなんて思ったらバチが当たる。沢良木様に主人を愚弄するなど不届き千万と彼岸で斬られる。
「あのね、ジェイ……」
「うん」
「あの……わたくし、また赤さまが出来たのかも……」
「え!」
「まだ内緒よ?和喜様にもお園様にも話せていないの……」
頬を染めたエマの顔。お腹に当てた白く柔らかい手。
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