嫉妬深くて何が悪い。

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   目を閉じたマリア様。我が子の亡骸を抱いたマリア様。悲しい場面の筈なのに、母の慈愛の神々しさに涙が出た。あの頃の自分が『神』を信じていたのかどうかさえ覚えていないのに……これだけははっきりしている。  あの日から、俺はマリア様の歌を歌う事が大好きになった。  いつもどんな時も、ピエタが心の中にあった。 「わたくしは本物を見た事がないけれど、いつか、ジェイと一緒に行けるかしら」 「うん……きっと行けるよ」 「こうして生きていられて、わたくし達は幸せね」 「うん……旦那様のお陰だ」 「心から感謝しましょうね」 「うん……」 アヴェ・マリア アヴェ・マリア ─────アーメン 俺はやっぱり、都々逸より讃美歌が好きだ。  
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