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波乱の桜見の会から暫くのち。
旦那様と二人、毎週恒例の東鷹学院での音楽教室に向かう。放課後の森の館からは、既に自主練習をしている学生達の歌声や楽器の音出しが聞こえてくる。
少年聖歌隊は変声期を迎えると隊員も当然入れ替わる為、あまり人数的な変化はないけれど、志弦の森楽器同好会は卒業生も籍を置いている事もあって会員数は膨らむ一方だ。
「あちこちの演奏会からも声が掛かっているから、いっそ職業として成り立つように組織し直そうかと思うんだ。外部から指揮者や演奏家を受け入れて、管弦楽団として活動するのはどうだろう」
「素晴らしいと思います!音楽を生業に出来るなら、その道を志す人ももっと増える筈です!」
うきうきと馬場の遊歩道を進むと、館の入り口に志月様と井作(さん)の姿……!出たな恋敵……!
娼伎時代の癖なのか、少し内股に駆けて来て。また旦那様に飛びつこうってのか。そうはさせんっっ
「フォール先生っっ」
「……………」
エマとお孫様達以外の、自分より小さくて可愛らしい存在に飛びつかれたのは初めてだった。
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