Green Eyed Monster

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   週末は、最低限の使用人だけ置いた海辺の別邸にジェイムズと二人。好いた相手と親密に過ごせる時間の愛しさよ。 「もう!すぐそうやってにやにや笑って!」 「だって貴方が可愛いから」  外は三月初めの風がまだまだ厳しいが、閨の中はぬくぬくと、いや寧ろ暑いくらいだ。人肌と戯れるのは幾つになろうと楽しいぞー。 「塩町でもこうしてきゃっきゃと戯れておられたんでしょう!年若い綺麗どころを侍らせて!」  また蒸し返す……腹が膨れれば少しは機嫌が良くなるかと思いきや、悋気とはまこと手強い。せっせと開いた夜着の袂をまた合わせ、ごろりと天井を向く。 「酒を飲んで話をして、あとは朝までぐうぐう眠った……それだけだよ」 「嘘ばかり……」 「海の物山の物……季節の美食は食ったかなぁ」  ジェイムズは上から私の顔を覗き込む。指先を伸ばしするすると頬を撫でると拗ねて唇を尖らせる。そのまま胸に抱きとり、よしよしと肩を撫でると、それはそれで(こども)扱いだとまた嫌なものらしい。 「もうお寝み」 「沢良木様のお気持ちがようくようくわかります……!」 「閨の中で桐吾の名を持ち出すのは悪い癖だ……直した方がよい」  
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