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「芽生が俺を選んでくれて、本当に幸せだって思ってる。だから、これからは芽生と子供のために、もっとしっかりするつもりだよ」
二人の言葉に、昴流の母親が感慨深そうだ。
「昴流……ずいぶん変わったわね。やっぱり苦労すると変わるのね。そんな苦労はっていろいろ言ったけど、親って過保護だって実感したわ」
ここで彼女は夫を見た。
「昴流がここまで歩み寄ったんですから、貴方も意地を張り続けないの。
そんなこと続けたら、芽生さんや孫に会えないわよ」
それは困るようで、彼は息子に言ってきた。
「おまえが素直になったんだから、こちらも歩み寄らないと駄目のようだな。
婚姻届にサインしよう。西野さんのご両親にそう伝えなさい」
昴流に伝えると、次は芽生を見てきた。
「西野さん、貴女のような女性に選ばれて昴流は幸運だった。これからも息子をお願いします」
頭を下げられた芽生は慌てた。
「そんな……私こそ、昴流くんに選ばれて良かったです」
勇気を出すのは大変だったけど、その分、嬉しさが待っていたと芽生は思った。
「良かったね、昴流」
耳元でささやくと、彼は芽生に微笑んできた。
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