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「それじゃ、帰る。芽生の両親に報告しないと駄目だから」
会話が途切れたのをタイミングと思ったようで、昴流が両親に言った。
「それに芽生を早く家で休ませたいんだ。心配だから」
昴流は男だから詳しくないはずだけど、普通に交際しての妊娠ではなかったので、心配なのかもしれない。
「あら、ごめんなさいね、芽生さん。そうよね、三か月くらいなら大事にしないと駄目な時期よね……」
「いえ、それは大丈夫ですけど……」
言いかけた芽生を昴流は止めた。
「そうだよ。経験者の言うことはきかないと」
「そうよ。
今日はこれで帰るのは仕方ないけど、また来てほしいわ。それと、私たちのこと、お義父さん、お義母さんと呼んでもらえる?
これからは家族なんだから気軽にね。私たちも芽生ちゃんって呼びたいわ」
芽生ちゃん……大学生なので相当恥ずかしいけど、さん、と呼ばれるよりは親しい感じがしたので芽生は頷いた。昴流の両親が自分を歓迎してくれるのは嬉しかった。
「はい、そう呼ばせてもらいます。
あの……また、昴流くんと一緒にお伺いします……お義父さん、お義母さん」
芽生の呼びかけに二人は嬉しそうだ。家族の和解の一部になれたかもしれないと、芽生も嬉しくなった。
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