第一章 思わない場所での出会い~初恋のひと

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 「え……昴流(すばる)?」  思わず声を掛けた瞬間、芽生(めい)は赤くなって(うつむ)いた。  「ごめんなさい、人違いです……」  彼がこの場にいるわけはないのに、似た面影の男性を見て声を(おさ)えられなかった。顔が赤いままの芽生に男性は、(かす)かに困惑した笑みを浮かべながら挨拶してきた。  「はじめまして、神流(かんな)と申します」  (声が……)  当たり前だけど、男性の声は昴流とはまったく違っていた。()こえる声は(かす)れて、この場に似合った(つや)やかさを芽生にも感じさせた。  男性の差しだした名刺を受け取ると、芽生は文字を見た。()った装飾の名刺で、同じように凝った文字で店名と男性の名前-源氏名が書かれていた。  「神流さん……」  つぶやくような芽生に、一緒に来たアルバイト先の女性が笑った。
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