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芽生は、体調が悪いと大学を休んだので、心配した弥生が見舞いに来てくれた。
「芽生、大丈夫?風邪?
昨日、雨すごかったからね。あたし、天気予報信じて傘持たないで外出しちゃってさ。いらない出費で腹立つ。
あたしが予報士になったら、こんな予想絶対しない!
あ、これ見舞いよ。一緒に食べようね」
いつもと変わらない友人を見る芽生の目から涙が零れた。初めて芽生が泣く姿を見た弥生が慌てている。
「芽生……どうしたの?泣くほど具合悪い?」
今まで芽生は、弥生に何も話していなかった。
ホストクラブに行ったことも、そのホストと日曜日ごとに会っていたことも……軽蔑されそうに思ったから。
でも、信じていた男性に襲われたショックを誰かに話さずにはいられなかった。何かしてほしかったわけではない。聞いてほしいと芽生は思った。
「お願い……話を聞いてもらえる?軽蔑してもいいから……」
弥生は、ただごとでないと察してくれたようだった。芽生の声を聞けば、普通のことでないと分かったのかもしれない。芽生は少し起きあがって、初恋の相手の説明から始めた……
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