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「どこから聞いてたの……」
ためらいながら訊く芽生に、昴流は少し黙ったけど答えてきた。
「芽生の好きな場所って辺りから。
冬夜さんに呼ばれたんだ。理由は聞かないで黙って来いって。二人が話してるの見て、息止まりそうだった」
ここで、昴流は重い溜息をついた。
「会いたかった。でも……俺には、もう会う資格ないって。あの日、目が覚めてものすごく後悔した。時間を戻したいって何回も思った。あんなことするつもりなんて全然なかったんだ」
久しぶりに聞く声は変わらず掠れて大人の雰囲気がした。でも、彼は昴流。芽生の初恋のひと……
「あの日、嵐だったから?」
「それだけじゃないんだけど……本当のこと言おうか迷ってたんだ。
芽生が神流に気持ち許してるのは分かってた。もし、神流が俺だって言ったら驚くだろうけど、理由話したら分かってくれるよなって。
そのチャンスかもしれないって」
昴流は神流の正体を打ち明けようとしていた。もし、そのとおりになったら、今はどうなっていたのだろうか……
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