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裏切られたといっても、昴流には少し前まで、本当に好きな恋人がいた。芽生は友達どまり。再会してから数か月で、気持ちは変わるのだろうか……
昴流にも芽生の言いたいことが分かったようで、自嘲めいた笑みが浮かんだ。
「心変わり早すぎって思ったんだろ。
自分でもそう思う。あんなに好きだったのに、今は逆に忘れたいって思う自分がいるんだ。
芽生のことは嫌いじゃなかった。もしかしたら好きだったかもしれないって思ってる。でも、彼女いるのに、他の女を好きになる奴は最低だって思ってたから、気づかないふりしてたのかもな」
意外な言葉に、何も返せないと思った。もし、昴流がその時に芽生を好きだと自覚してくれてたら……でも、時間は戻らない。起こったことも変えられない。
「だから、ほんとはきちんと段階踏んで、関係進めたかったんだ。
でも、もう取り返しつかないのは分かってる。だから、俺のこと、少しでも赦してくれるなら、金、ほんとに受け取ってほしい」
芽生は即答できなかった。自分を好きだと言ってくれる大好きな人に何を返せば正解なのか、彼女は迷っていた。でも、これだけは話さないとならないと分かった。
「私……昴流のこと、ずっと好きだった。そして神流のことも……あんなことあっても、嫌いになってない。それだけは本当だから」
「芽生……」
昴流は、芽生の名前をつぶやくように言ってきた。
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