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「中村くんと付き合ってた女の子、有名だったそうよ。少し仲良くなると、物を要求するようになるんですって。
親はそれなりにお金を持ってるんだけど、足りないんでしょうね、その子からは。
小学校から知ってる子は、誰も近づかないって聞いたわ。でも、中村くんは中学校からの入学だから知らないでしょ?その子には好都合だったみたい」
確かに、物を欲しがる性格を知らない昴流なら、簡単に近づける。
「その女の子と仲良くなったら、周りは遠巻きにするわよね。多分だけど、中村くん、余計にその子のこと、大事に思ったんじゃないかしら。
彼のお父さん、同じ会社の人からそのこと聞いて別れるように言ったんだけど、喧嘩になったそうよ。
転校ばっかりで友達できないのは親のせいなのに、やっとできた彼女とも別れろなんて、認められないって」
芽生の知る昴流は、みんなに優しくて怒る姿は想像できない。でも、家で揉めていたから、せめて、他の人とは上手くいきたかったのかもしれない。
「別れたなんて、ちょっと驚きね。芽生は聞いてるんでしょ」
頷いた芽生は昴流の事情を説明した。でも、二人はホストクラブで偶然会って、それから交際を始めたと嘘を言った。
そして、養育費を払いたいと申し出てきたとも。
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