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二人は少し複雑な表情だ。自分たちの娘が隠れてホストクラブに行く。さらに、ホストと交際。そのホストが、娘の同級生でも微妙な気持ちになるのは分かる。
でも、両親に怒っている雰囲気はなかった。子供の父親は確かに独身。それが分かったのは少しの安心を呼んだようだ。
「結婚しないのか?別に支障はないだろう。まったく問題がないとは思わないが」
交際中なら、付き合い続けることをどう思ったかは分からない。でも、妊娠となると事情は変わる。娘には未婚の母になってほしくないのは分かるから、拒否は難しかった。
妊娠の事情を話していないのだから、芽生には不利だ。
「今度会う時に話し合うから」
芽生は、返答の代わりに猶予を求めた。
「いいわよ。きちんと話し合うのよ。お母さんたち、デキ婚でも全然気にしないから。芽生が幸せになるなら、それが一番だと思ってる」
「ありがとう……お父さん、お母さん」
芽生は頭を下げた。
「ホストっていうのは少し気になるけど、きちんと働いてるのは安心ね。生活ってお金が掛かるから、現実的にならないと駄目よ」
責める感じはないのに、芽生は、自分の見通しの甘さを指摘されたような気がした。
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