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『いんや、地主から預かった親牛を殺してはなんね~だで』と豊吉が子牛を諦める様に倅に言った。
倅の豊三は『これで引っ張って駄目なら子牛サ諦めるだで』と最後の力を出して子牛を引っ張た。
ズルズルストンと丸で箍が外れた様に子牛は牝牛の産道から出てきた。
『オオ、やっと出てきたが~』と豊吉は倅に言った。
豊三の嫁八重が出てきた子牛を拭いていたら・・・悲鳴をあげた。
『どんげしたと、八重!?』と豊三が八重に言った。
『バケモンじゃ~』と八重が悲鳴にも似た声をあげた。
豊吉と豊三は子牛を見た。
別段変わった事の無い子牛の横たわる寝姿。
『バケモンの顔じゃて・・・・』と八重が怯えた。
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