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豊吉と豊三とヨシは件(くだん)の話した事を秘密にし、地主には『子牛は死産』だと報告をした。
地主は怒り、豊吉一家を又小作人から刈分小作に格下げと相成った。
翌年、豊三の女房、八重が女の子を出産。
同時期に地主の一人息子、一夫の嫁キヨが男の子を出産。
明治37年(1904年)日露戦争勃発。
地主の孫にて、一夫の息子は士官学校を出て将校にて満州(現・中国東北部)旅順要塞の前線将校として戦い壮絶な戦死をした。
嘆いた地主一家は跡取りが死んだので栄華が去るが如し没落して行った。
美しく育った豊三の長女サエは東京の大学教授の家に下働きとして雇われた。
その後、教授の長男に見染められて、嫁入りと合いなった。
年老いた豊吉は件(くだん)の言葉がこの事を指して居たと今更ながら思った。
時代は刻々と暗黒の時代へと向かって行った。
~お終い~
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