佐々木浩平という男

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実は、入社したばかりの頃、 私、菜々美は、 浩平に恋心を抱いていた。 同じ、営業が配属先だったから、話す機会も多かった。 浩平が、自分に気があるとすっかり思いこんでた。 仕事で失敗すれば、食事をご馳走して慰めてくれた。 残業の時は軽食の差し入れもしてくれた。 これでは、私に気があるとしか思えなかった。 同期会で華に会うまでは、相思相愛だと思いこんでた。 危なく一線を超えてしまう所だったよ。 でも、よく見てると他の女の子にも同じようなことしてる。 華が可哀想になった。 あいつは根っからの女たらしだ。 無意識の行動なのかも知れないけど。 父親を思い出した。 そして母が苦しんでたことも。 ああいうのは、治らない。 華を苦しめたくない。
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