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願いが叶う石
簡単な夕食を済ませた尚季は、さっとシャワーを浴びて、早々に2階の部屋へと引き上げた。
ベッドに寝っ転がりながら、ツバメのくれた青黒い石を指でつまんで、電灯に翳してみる。黒いのに青光りする石は、まるでちびすけの身体のようで、尚季は掌で鳴いていたヒナを思い出して切なくなった。
そっと石をなでると、やはり錯覚ではなく、石が中から光っているように見える。
「不思議な石だな。もしも願いが叶うというなら、ちびすけの言葉を理解したかったなぁ。お前の親の説明も分からなかったし。そうだ、俺の苗字も兎耳山っていうぐらいだからさ、動物の声が理解できる耳があれば、獣医として最高かもしれない」
そう思った時、ふと尚季は瑞希の部屋にあったBLの表紙を思い出した。
頭の上にケモミミがついた爆笑本だ。俺の場合は名前からいくと、ウサギの耳だったりして・・・・・・。
想像したら、おかしくて笑いが止まらなくなった。確かに草食系の俺にはぴったりかもしれないけど、実際そうなったら気持ち悪いだろうと、ありえない設定にまた笑いが止まらなくなる。
「ヒャッヒャッ、ハハハハハ・・・・・・」
ひとしきり笑うと、脱力して何だか眠くなった。
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