怪しい教祖

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「伊藤さんは、ただの仕事で介護をしているんじゃなくて、本当に心が優しい人なんだな。でもさ、玲香と伊藤さんの繋がりはどうする? さすがに玲香が神社の神主の娘で、自分も勤めてお祓いをしているなんて言えないだろ? 」 「警戒されちゃまずいものね。じゃあ、祖母の介護をしている伊藤さんと仲良くなって、光導を勧められたことにすればいいわ。私と尚季くんは大学生でどう?」 「オッケー! 話がまとまったところで、さっそく行こうぜ」  尚季の声に玲香もソファーから立ち上がり、[王様の耳]からバスで20分ほど行った雑木林の中に建つ光導へと出発した。  雑木林に入る石畳の両側に建つ石門の前で、尚季と玲香は石門の上にある不可思議な生き物の石像を見て眉をしかめた。 「なんだこれ?顔が狐で、耳がたぬき、身体がとかげで、尻尾が猫?って感じで、ミックスされた想像上のキモキモ生物だな」  尚季の声の嫌そうな声を聞いて、中折れ帽を少し持ち上げ、ちびすけが顔を覗かせ、キモキモ生物を見る。途端に、ギャッと鳴いて帽子の中に引っ込んでしまった。
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