ツバメファミリーの恩返し

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 尚季が観察していると、親が餌を持って現れると、一番真っ先に大口を開けて餌を催促するのは、身体が大きなヒナだ。小さなヒナは大きなヒナの影に隠れて、もらえる量もものすごく少ない。親鳥もどのヒナに餌を与えたかを覚えていないようで、お腹が減ったとアピールが一番強いヒナに与えているのが分かった。 「同じ兄弟でも弱肉強食の世界なんだな。ちびすけ頑張れよ! 」  尚季は自分の背が170cmを切る痩身なので、ついつい栄養がいっていないヒナに同情してしまう。  そう、世の中は弱肉強食なのだ! 顔も小さく目もクリッとしている尚季は、小学生までは女の子に間違えられ、成長した今は、害の無い草食男子そのものだ。  女の子も、尚季を男友達として歓迎はするが、恋人となると少し物足りないらしく、付き合って数カ月でふられるのがパターン化している。  尚季を振った女の子たちが、身体が大きくて男らしい顔つきの友人たちの方へ吸い寄せられていくのを、指を咥えて見ているしかなかったから、余計に親鳥のアホな対応に腹が立つのだ。
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