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「なおたん、僕なおたんの願い叶えるお手伝いできたキュル。うさ耳無くなるけど、動物の心聞いてあげてキュルル」
「ちびすけがいてくれたら、ずっとペットサロンで動物の声をきくから、行かないでくれ! 」
ちびすけは、もう一度尚季の頬に身体をすりつけると、すっと上を向いた。
「なおたん、僕忘れない。なおたんのこと大好きキュル・・・・・」
ちびすけは消えた。
左右も後ろも前も、空も見たけれど、もうどこにもいない。
上を向いた拍子に、中折れ帽が道路に落ちたけれど、そこにはもう、うさ耳は無かった。
「ちびすけ~~~~っ」
尚季の声に反応するかわいい声を、必死で聞き取ろうとしたけれど、尚季の耳にも、玲香の耳にも、探し求めるちびすけの声は届かなかった。
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