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「ちびすけ、身体を掴むけど、怖がらないでくれよ。身体を温めてやるからな」
そっとちびすけの背中に手を回して、小さな身体をもう片方の軍手の上に乗せる。
一瞬軍手の中に隠れたヒナを心配して、傍まで飛んできた親鳥に、両手に載せたちびすけを上空に掲げて見せてやると、親鳥はまた電線に戻って行った。
ウッドデッキに腰掛けて、顔だけ外に出したちびすけを両手で包んでやると、身体が温まったのか、動きが活発になってくる。包んでいた両手を開いて片手に載せ直し、小さくて縮れた羽を摩ってみた。
「ごめんな。俺が治してやれたら良かったな」
ちびすけは、尚季に応えるように、くちばしを大きく開けて喉をならすと、軍手の指に身体をこすりつけるようにして甘える。
「お~い。親ツバメ。ちびすけを一旦巣に戻すからな。ちゃんと面倒みろよ」
尚季はガーデンチェアーを巣の下に置いて、その上に立ち、ちびすけを巣に入れてやった。
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