ペットサロン始めました

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ペットサロン始めました

 初めてのお客は、瑞希の動物病院で話しかけてきた豊島さんというお金持ちの奥様で、飼い主の体格の良さに比例するフレンチブルを連れて来た。 「あら、きれいなログハウスね。さきほどお聞きしたジャグジーでのエクササイズを頼めるかしら?何しろマルゲリータちゃんったら、よく食べるから、お散歩もお腹が地面にすって歩くのが大変なのよ。2時間ほど預かって頂けるかしら? 」  さっきも思ったが、本当によくしゃべる女性だと尚季は思った。それに、マルゲリータの体型を、犬の食欲のせいにしているけれど、食べさせ過ぎは飼い主のせいだ。  一言いってやりたいのは山々だが、いつまでも瑞希に生活費を恵んでもらう訳にはいかない。最初は信頼を得られるように、優しく餌のアドバイスをするのが懸命だ。 「マルゲリータちゃんをお迎えにいらした時に、食事療法も書いておきますので、お家で実行してみてくださいね」 「まぁ、嬉しいわ。早めに終わったら、ここで寛がせてもらってもいいかしら? ねぇ、ペットサロンだけじゃもったいないわ。この広さで綺麗さなら、ペットカフェにできるじゃない。お友達を連れてきてあげるから、そうしなさいよ」
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