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5月13日
今日は土曜日。隼人と映画を観に行く日だ。
楽しみすぎて全然眠れなかったし、30分も早く約束の場所に着いてしまった。
我ながら浮かれすぎだなぁ・・・
普通に普通にと自分に言い聞かせても、やっぱり落ち着かない。そうこうしているうちに約束時間になり、隼人がやってきた。
「悪い、待たせた?」
「ううん、俺もさっき来たとこだから」
「そうか、よかった。映画1時からだったよな?どうする?先にメシ行くか?」
「うん、そうしよっか。隼人は何が食べたい?」
「陽の食べたいもの」
「・・・じゃあ、パスタ!」
「女子かよ(笑)」
そう言いながらも手早く近場のイタリアンレストランを調べて、行こうぜ、と前を歩き出す。
白いシャツに淡い色のダメージジーンズというシンプルながらもオシャレな服装の隼人は、男の俺から見てもかっこよかった。長身に、程よく付いた筋肉と逞しい背中。長い手足。それに加えてイケメンだなんて、神様は不平等だ。
その証拠に、すれ違う多くの女性が彼を振り返っている。そりゃそうか。かっこいいもんな。
しかし、そんな視線を気にすることもなく彼は俺を見る。
「何してんだ、早くいくぞ」
って。隼人が、彼を見ているたくさんの人たちの中から俺だけを見てくれていることが嬉しくて、駆け足でその声のもとへ向かった。
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