1 雲龍の衣

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ー糸を集めなければならぬ。 今しがた産声をあげたばかりの赤子を抱いて、(おうな)は言う。 龍とともに生まれ、その(むくろ)たる錦糸を織る事によってのみ存在を許される、《機織りの巫女》。 天上の同胞(はらから)と同じ純白の鱗に包まれた幼い腕を撫でて、嫗は目を細めた。 ー美しい娘よの。きっと素晴らしい布を織ろうぞ…
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