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頭上に視線を戻せばそこにはただ一匹の龍が、その巨軀を透き通る蒼弓に横たえている。
歴史書は、あれが五十六番目の成龍だと語る。
百番目の龍が成龍となるとき、《天帝》が生まれる。《機織りの巫女》は、その産着を織るのだという。
村はずれの機織り小屋では、五十五番目の《機織りの巫女》が、息絶えていた。
狭い小屋いっぱいに広がった、その繊麗たる布に包まれるべき赤子が世界を救うのか滅ぼすのか、その答えを知る者は居ない…
(了)
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