2 人魚について

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この喫茶店に、給仕をしている一寸綺麗なお嬢さんがいるのを、君も知っているかな。 僕は席に座って彼女を眺めながら、想像せずには居られない。彼女がいま、誰かに恋をしているとしたら…とね。 イヤ、当たり前の恋物語などに僕は()かれやしないよ、僕は恋愛小説は書かんからね… 僕が望むのは、彼女の恋が破れることだ。 そうだな、例えば身分違いの恋をしたとか、相手に許嫁(フィアンセ)がいるとかはどうだろう? 決して拒絶の果ての失恋ではいけない。相手を憎む気持ちは、時に悲しみを塗り潰して仕舞うから。 そう、彼女を逃げ場の無い絶望に追い込んでしまう必要があるのだよ…
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