プロローグ

3/4
前へ
/410ページ
次へ
「でも、あと少しで夏休みだよ!」 「そうだ! 今年は海に行こーよ!」  何の疑いもなく毎日を過ごし、未来に胸を踊らせている彼女達はきっと知らない。  当たり前の日常など、保証された未来などどこにもないということを……。 「……もう、五年か」   いつの間にか俯いていた俺の足元には、自分一人の影がゆらゆらと揺れている。  この胸が締め付けられるのと同時に、ズボンのポケットから猫の形をしたキーホルダーを取り出すとそっと握りしめた。
/410ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加