わたしの海馬は優しかった

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わたしの海馬は優しかった

うちの市でも市長と市議会議員選挙が告示されました 告示の初日、家でボーっと昼休みをしていたら選挙カーが何台もかち合ったようで候補者の名前は重なってわからなくなるほどでした 市会は範囲が狭いから集中しちゃうんだなと思っていると 少しして私の目から涙が一筋スーッと流れたんです えっ!? なんだ? どうやら、私の頭の中の海馬が選挙カーで反応したみたいです 昨年、亡くなった実家の父は親戚のおじさんが市会の選挙に出るたびに選挙カーに乗り応援していたのです 弁論部出身だったのでとても上手いことを言う人でした 親分肌なのにお酒は飲めないし、寂しがり屋の人でした 2歳で両親が亡くなっていたので寂しがり屋なんです 人がたくさん来てくれるのが何よりの喜びでした ですから、私が父を思い出すより先に海馬から父のその記憶がガチャンと音がしたかはわかりませんが取り出され脳から命令されて、涙が一筋スーッだったのでしょうね 人体はすごい精密機械ですね 私のはちょっとメンテナンス不足かも知れないですけど
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