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「17番。出ろ」
大した声ではないが、私の耳を嫌に刺激する。
私は鉄格子の手錠台に手を差し出す。
「手枷はいい、鍵を開けるからそのまま出ろ」
そう言って重い重い鉄の扉が開かれたので、言われるがままに外に出る。
久しぶりの鉄格子の外だ。
他の独房からは低いドスの効いた声が聞こえてくる。
「おいどこ行くんだあ」「島田か」「うるせえぞ、カス共。黙ってらんねえのか」
声と共に鉄格子を揺らす音、それに返す看守の怒鳴り声。慣れたもんだ。
私はただ前を見て外へ向かった。
そして開く外への扉。光が目を刺激する。チンパンジーみたいに光から体を防ぐ様に手で覆った。
最後に振り返り一言。
「天皇万歳。あばよ洞窟の中の小人達」
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