強制護衛

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まだまだ自分は器が小さいと反省しているソレイユの端で、イスズには、よかったら別の仕事をしないかと持ちかけられていた。 「君は、新しい研究員なのかい?」 ふと、脇から話しかけられて振り向くと、出版社の社員らしき若い男だった。 イスズの指示に従って、地方からの研修員だと自己紹介しておく。 初対面だとじいっと見られがちなソレイユだが、変装のせいか軽い挨拶されただけで、すぐに視線を外された。 「イスズさん、いいですよね。すごく熱心で、あいまいな表現は使わないし、ホラも吹かない。胡散臭いと思われがちな業界だけど、彼女の論文は別格扱いです」 ソレイユにはわからない業界ながらも、イスズの存在は上等らしい。 これなら、オカルト関係の逆恨みやファンを称する誰かの仕業も充分にありえる。 イスズにストーカーの心当たりがないのも、おかしくなさそうだ。
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