強制護衛

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 * * * 「この証言は、軽視すべきではない」 「いやいや、前半と後半で矛盾も多いし、ここは目撃者が記憶を操作された可能性を考えるべきだよ」 「それこそ、事件そのものを認めないようなものじゃないか」 研究室では、二人を中心に熱い討論が繰り広げられていた。 「さっきから、こんな感じなんだけど、イスズはどう思う?」 「うーん。やっぱり、その告白だと鵜呑みにするのは難しいですけど、全てを否定するには不可解な現象だと思います」 「だろう! あー、よかった。イスズのお墨付きをもらったなら、自信を持って追究できるよ」 全国から寄せられる事件や怪奇現象について研究員と議論している時間が、イスズにとっては至福だった。 研究員としての仕事は大半が書類整理で、残りの半分はそれらをまとめた論文の発表だ。 論文は研究所の存亡がかかっているので好き勝手に書けず、何度も見直して手直しするので神経をすり減らす作業だ。 だから、今みたいに宇宙人だの神の御技だのと、突拍子もない可能性を延々掘り下げていくのは楽しくて仕方なかった。 こういう話は、いくらだって盛り上がれる。 「私、ここにいられて幸せだなぁ」 「それなら、ここにいる研究員はみんなそうだろう」 「ですよね」
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