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ひとつ屋根の下
「……」
「……」
雪鈴亭を出たイスズとソレイユは、研究所まで戻ってきて途方に暮れていた。
なぜかと言えば、雪鈴亭を出た直後に巻き戻る。
「送っていきます。家はどちらですか」
ソレイユが護衛として本日最後の役目をまっとうしようと訊ねると、イスズは知らなかったのかという顔をして研究所だと答えた。
「え゛!?」
すると、なぜかソレイユは今日一番の動揺を見せた。
「あの、本当に研究所に?」
「はい。管理人として住まわせてもらってます」
「もしかして、お一人で?」
「はい」
「それは……」
ソレイユは「困りましたね」とでも続けそうな顔で眉間に指を当てている。
「あの、ソレイユさん?」
「実は、イスズさんの護衛の間、研究所で寝泊まりするようビームスさんが手配してくれることになっていたのですが」
「は!? 何ですか、それは!」
というわけで、現在に至るのだった。
途中、気持ちを落ち着ける時間稼ぎをかねて昼間に暴漢を預けた警備所に寄ったのだが、ソレイユの後輩が泣きそうな顔で逃げられましたと謝られたので、ますますイスズを一人にしておけなくなっていた。
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