第1球【始まりの季節】

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 元担任は、黒木ならバッターでも名門校でやっていけたのになぁと呟いた。  俺はうんうんと分かったふりをして頷いていたが、内心ヘドが出るほどムカついていた。  悪気は無いのだろう。その悪気の無さが余計に腹が立つ。  俺の苦しみなんか何一つ分かりはしないだろう。  中学校をあとにした頃には、ヘトヘトになっていた。家に帰るまで何度も休憩をしてしまう。 (これで何とか受験ができる……)  暮れなずむ空を見て、自分の高校生になった姿を想像してみる。  まったくぼんやりとしている……。  苦笑してしまった。
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