第1球【始まりの季節】

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 校門の横には立て看板に鈴音高校定時制入学式とある。通称スズテイと言うらしい。  校門を抜けると広場があり、校舎に続く大きな階段がそびえる。  俺は周りを伺うと、自分と同じなのだろう、新入生や在校生らしき姿がちらほら。  階段の最上段には先生方が立っていて、新入生の案内をしている。  この先生、受験の時に面接をした先生だ。  一人は小柄なひょうきんな顔をした、おじさん先生。もう一人は、更に小柄で160センチ位の丸顔のおばさん先生。髪をソバージュにしている。 「あら、おはよう黒木君」  そう言ったのは、おばさん先生、確か宮本先生。 「おはようございます。今日はよろしくお願いします」  俺は少し緊張してしまう。 「ははは、そんなにかしこまらないで。もっと気楽にいこうよ」  もう一人のおじさん先生、金田先生が言った。気さくに笑っている。 「はは、ありがとうございます」  俺もつられて笑ってしまった。  二人の先生に促され、待機場所の食堂へと行くように言われた。  今、自分が居るのは3階。食堂はそこから降りて1階にある。  エレベーターもあったが、階段で降りる事にした。
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