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第1球【始まりの季節】
目の前が真っ暗になった。
右肩から嫌な音を聞いた。
中学軟式野球全国大会、決勝。
1対0の緊迫した試合展開の中、ーー7回裏、ツーアウト満塁、カウントはフルカウントーー俺はその破滅の音を聞いたのだ。
夏の日差しが容赦ない。被っている帽子を突き抜けるような日差し。
もう最後だと思い、ラストボールを投げ込んだ……ーーーー。
この地獄がいつ終わるのか……。
俺はカーテンを閉めきった部屋で、この生活を憂いていた。午前のとても静かな時間。
中学軟式卒団の時に手渡された色紙に目を落とす。自分の名前、《黒木》頑張れとある。
読むたびにやり切れないというか、腹が立つので、色紙をフリスビーの要領で壁に向かって投げる。何故だか色紙は捨てられないで勉強机の傍らにあった。
伸びきった髪をかきむしる。あの決勝の夏からちょうど1年が経っていた。
俺は肩を壊し、中学とか人生とかのレールから外れてしまった。肩を壊してから、周りの人は俺から、さーっと波が引くように去っていった。それから急に人やこの世界が怖くなってしまったのだ。
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