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1章
「1章」なんておおそれたタイトルがついているが大したことのない話である。ボクがどのようなことを行い、その目標を達成したのか、という過程の話だ。
ボク、草津葵は目標を立てたはいいがどうしてもそのラインを越えられずにいた。どんなに厳しいトレーニングを続けても結果に結びつくことがなかった。どうすればいいのか、もう自分では分からない状態になっていた。
そんなある日、いつものように高校のトレーニングルームでの筋トレを終えて、帰宅途中にラーメン屋に寄った時の出来事だった。
「あら、葵君じゃない」
ボクはふと声をかけられた。声の主は隣の席に座った人物だった。
「縁先輩。お久しぶりです」
この前の3月で卒業してしまった部活の先輩である縁先輩だった。
「この時間にここにいるってことは、自主トレ? もうそんな時期なのね」
「今年こそは目標達成したいんですよね。ただ全然達成できそうになくて」
ボクは縁先輩に目標が達成できなそうなことを打ち明けた。
「葵君は目標が高すぎるんじゃない? もう少し現実的な目標にしないと」
『目標が高すぎる』同期の部員にも似たようなことを言われていた。しかし、この目標を変えてしまっては意味がないのだ。この目標は“あの”人と一緒に立てたものだから。
「どうしても目標達成したいんです。縁先輩なにかいい方法ないですか?」
「うーん。何かあるかしら。あっ、このスペシャル特盛ラーメンを食べ終わってからでもいい?」
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