【始まり~出会い~】

2/3
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/79ページ
次の日、ルークは学校が終わると自然と養成所の方に歩いていた。 自分でも不思議だった... そこへ行ってもどうしようもないのに彼の足はカイルがいる場所を目指していた。 養成所のビルの前に着くとルークは改めて自分がここへ来た無意味さに気が付いた.. ...何してるんだろう、ボク... 彼は帰ろうと踵を返した。 「ルーク‼︎」 後ろからカイルの声がした。 「カイルさん‼︎」 「どうしたの?何か用じゃなかったのかい」 「..いえ‼︎たまたま通り掛かっただけです」 まさか貴方に会いたくて来たなんて口が裂けても言えなかった。 「僕、今日はもう終わりなんだ、折角会えたんだし、良かったら僕のアパートに遊びに来るかい?」 「えっ‼︎」 ルークは突然の誘いに驚いたが、カイルに会えただけではなく彼とまだ一緒にいられる事が嬉しかった。 カイルのアパートは養成所からバスで二駅離れた場所にあった。 ルークの心臓はドキドキしていた... 「さぁ入って、散らかってるけどごめんね」 そう言われ通されたが、散らかっているどころかとても綺麗な部屋だった。 シンプルなベッドが奥にあり、その横にパソコンデスクがある。 本棚には演技や映画関係の本が沢山並んでいた。 「今、コーヒー淹れるからそこのソファーにでも座ってて」 ルークはソファーに座るとそこからキッチンでお湯を沸かしているカイルを見た。 「ルークは確か砂糖要るよね?」 「あっ、うん...」 昨日カフェテリアでコーヒーに砂糖を入れていたのを覚えててくれたのだ。 それだけで何だか少し嬉しかった。 カイルはベッドをイス代わりに座り、ブラックでコーヒーを飲んでいた。 二つ年上のカイルはルークの中で大人っぽく見えた。 「ねぇルーク、僕達友達になれないかな...?」 「えっ‼︎...ボクこそ、カイルさんと友達になりたいです」 「ありがとう、ここ(ロス)にはあまり友達がいなくて..嬉しいよ」 カイルは優しく微笑んだ。 「後、カイルでいいし、砕けた話し方でいいからね」 「..うん」 ルークはこれからも彼に会えると思うと嬉しかった。 「また遊びに来てよ、養成所とバイト以外なら家にいるから」 「うん、...今日もバイト?」 「そうだよ、7時から夜中の3時まで」 彼がルークの飲み終わったマグカップをとるとカイルの指に目が止まった。 細くて綺麗な指が乾燥して所々、あかぎれを起こしていた。 「カイル..指...」 「ああ、これ?水仕事もあるから」 「良かったらこのハンドクリーム使って」 ルークは鞄からチューブ式のハンドクリームを取り出すと彼に渡した。 「ありがとう、ルーク‼︎...君は優しいんだね」 彼の笑顔にルークの鼓動は早くなった。 カイルへの想いは募っていく一方だった... 次の日の昼、ルークは学校のカフェテリアでランチをとっていた。 「ルーク、隣いい?」 ミシェルは食事が乗ったトレイを持ちながら笑顔で聞いた。 「ああ」 彼女は隣に座ると食事を始めた。 「..ねぇ、パパとママ離婚するの」 ミシェルが呟くように話した。 「えっ‼︎本当かい」 彼は驚いた。 この前、彼女の母親のケイトに会った時どことなくいつもと違ったのはそれが原因だったのかと彼は思った。 「ママは今、マンションで暮らしてる..私はこれからの事もあるからパパに親権がいくみたい」 「そっか...ごめん、何も知らなくて」 「ううん、...私ね、そんなに辛くないよ..ママにもいつでも会えるし」 ミシェルは明るく振る舞っていたが、どこか寂しげな雰囲気を彼は感じた... 「ママが口煩く言うのも私の事を想ってくれてるからなんだよね..ママ...」 彼女の瞳に涙が溢れていた。 「ミシェル、その気持ちが分かっただけでも君は少し大人になったんだ」 ルークが優しく彼女に話すと、ミシェルは小さく頷いた。 ーーー 学校の帰りもミシェルと一緒だった。 「今日のお昼はごめんね..後、ありがと」 「ボクで力になれる事があれば言って、友達だろ」 「うん」 彼女は笑顔で頷いた。 「パパとママ、すっごく愛し合って結婚したのに..恋愛って難しいんだね...私には全然分からない、恋をする感覚...」 「いつかは分かるさ」 ルークは片想いの真っ只中だった。 「..なぁ、ミシェル..同性愛ってどう思う?」 「えっ、私は全然いいと思う..ルークそうなの?」 「...ボクは違うさ‼︎授業のテーマで習って..気になって聞いてみたんだ」 「そっか、でももしルークがゲイとかバイセクシャルでも私は驚かないけどね」 「だから違うって...」 彼はミシェルの言葉が嬉しかった..彼女はそういう事に偏見を持たない心の広い女の子だ。 -その夜- ルークはベッドでカイルの事を想いながらオナニーをした... カイルに恋をしてからはゲイポルノ雑誌は役目を終えてしまった。 行為が終わるとルークは虚無感に襲われた。 彼に触れたい気持ちが募る... カイルには彼女がいるのだろうか? せめて彼がバイセクシャルだったらと思った。 しかしその確率はとても低いだろうと考えると、ルークは虚しくなってきた... それから数日が経った土曜日... バスに乗ったルークの胸は弾んでいた、今日はカイルと遊ぶ約束をしたのだ。 昨日、彼から土曜日に遊ばないかと誘いのメールが来た。 街の映画館の前で待ち合わせをした。 ルークが映画館に着くと、彼は既に映画館の入り口の前で待っていた。 「カイル、待った?」 「ルーク‼︎いや、僕もちょっと前に来た所だよ」 カイルは半袖のカッターシャツにジーンズ、肩から斜め掛けのショルダーバッグを掛けていた。 二人は映画館の中へ入ると、受付でチケットと飲み物、ポップコーンを買った。 席に座ると上映までまだ少し時間があった。 「今日は養成所もバイトもないから久しぶりにゆっくりできるよ」 カイルはニコニコしていた。 ルークは彼の手を見た..乾燥やあかぎれが良くなっているように見えた。 ボクのハンドクリーム使ってくれてるんだ... ルークは嬉しかった。 映画を観ている最中もルークは隣にいるカイルが気になり、あまり映画に集中出来なかった。 映画館を出ると近くのマックでランチをした。 二人はカウンター席に座り、セットメニューを食べていた。 「映画面白かったね」とカイル。 「うん..」 彼は映画よりカイルが気になり、あまり頭に入ってこなかった。 「そういえばルークってハーフだよね?所長は日本の人だから」 「うん、妹もだけど二人共母さん似なんだ」 ルークははにかんだ。 「..ねぇ、カイルって彼女いるの?」 彼は口に入っていた物をジュースで流し込むと 「ははっ、いないよ」 と笑って答えた。 それを聞いてルークは少し安心した。 「ルークはいるのかい?恋人..」 「ううん..好きな人ならいるけど...」 「そうなんだ」 そう言うと、二人は窓の外を眺めた。 マックを出るとカイルが 「また僕のアパートに来るかい?」 と彼を誘うと、ルークは頷いた。 ルークはカイルと一緒にいられる事が嬉しかった。 ーーー 彼のアパートに来るのは2回目だ。 中の間取りや配置はもう分かっている。 「コーヒーでいいかな?」とカイルが聞いた。 「うん、ありがとう」 お湯が沸く間、二人はソファーに座りルークのスマホでゲームをしていた。 「このゲーム今ハマってるんだ」 ルークは操作して彼に見せた。 「楽しそうだね‼︎ちょっと僕にもやらせて」 ルークはスマホを彼に渡し、操作を説明した。 「コレってこうでいいの?」 「ううん、こっちを...」 ルークの指がカイルの手に触れてしまった。 「あっ...‼︎ごめん」 ルークは指を反射的に離すと彼に謝った。 それと同時にお湯が沸いた音がした。 カイルは笑顔でスマホを返すとキッチンへ火を止めに行った。 ルークの心臓はドキドキしていた... 触れた彼の手は少し冷たかった。 カイルにちょっと触れただけ、ただそれだけなのに彼の気持ちは張り裂けそうなくらい辛かった。 カイルが二つのマグカップを持って戻ってくるとテーブルにカップを置いた。 「ルーク、元気がないみたいだけど体調が悪いのかい?」 「...ううん、大丈夫」 彼は一生懸命、笑顔を作ったが張り詰めていたものが溢れそうになった... 「ごめん、ボク今日は帰るよ...」 ルークはこのままだと自分の感情を抑えきれなくなりそうだった。 「待ってよ、ルークどうしたんだい?」 カイルは心配して少し強めの口調で問い掛けた。 ルークの瞳からは涙が溢れていた... 「...ルーク‼︎」 「..ボク、カイルの事が好きなんだ...」 ルークは気持ちを彼に伝えた。 好きになった人に初めて気持ちを伝えた、今までは好きになってもそれで終わっていたがカイルはルークの中で特別な存在になっていた。 ダメだとは思っていた、しかし気持ちを彼に伝えておきたかった.. これからも友達として付き合っていくのはルークには辛かった。 「ルークありがとう、..僕も好きだよ」 彼は優しく微笑みながらルークの涙をそっと指で拭った。 ルークは聞き間違えではないかと思ったがカイルの笑顔を見て本当だと確信した。 二人はソファーで少し冷めかけたコーヒーを飲みながら話した。 「そっか、今まで辛い思いをしてきたんだね..分かるよ、うちの家族も僕がゲイだって知らないからね」 カイルは苦笑いをした。 「初めて養成所で会った時にカイルに一目惚れしたんだ..今回はとても特別な気持ちになったんだ」 「僕もさ、初めて君を見た時なんて可愛い子なんだろうって..段々、ルークの事が気になって..」 カイルとルークは見つめ合うとゆっくりとキスをした。 カイルの唇は温かく柔らかかった。 ルークは初めてのキスに心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしていた... 「僕達、最初から惹かれ合っていたんだね」 「..うん、カイル大好きだよ」 「僕も大好きさ」 カイルは優しくルークを抱きしめた.. 微かに香るカイルの香水が彼の鼻をくすぐる。 彼の体温に包まれルークは幸せだった。 ーーーその夜 「ルーク、何だか機嫌がいいわね」 アニーが食卓でサラダを取り分けながら話す。 「..えっ、そうかな...」 「お兄ちゃん彼女でも出来たんじゃない」 と、リサが悪戯っぽく笑いながら話した。 「みんなしてからかわないでよ、何にもないから」 しかし、リサが言った事は間違いではなかった。 初めて出来た恋人... 今までは好きになっても諦めていたがカイルは特別だった。 そして彼と想いが通じた... ルークの心は満たされていた。 「ねぇパパ、この前養成所でボクを案内してくれたカイルと友達になったんだよ」 「そうか、カイル君はとても努力家でいい子だ、だからこの前も彼に案内役を頼んだんだよ」 「あら、それじゃあ今度連れて来るといいわよ」 「うん」 まさか自分と彼が恋人だとは誰も思わないだろう... もし、二人が付き合っていると知ったら周りはどう思うのだろうか? カイルが家族に自分が同性愛者だって事を話していないように、ルークも自分が同性愛者だという事を話せずにいた... 部屋へ戻り暫くするとスマホが鳴った..カイルだった。 ”ルーク、今大丈夫?” 「うん‼︎どうしたの?」 ”君の声が聞きたくなって..さっき別れたばかりなのにね” 電話口でカイルは小さく笑った。 「ボクも..カイルの声が聞きたかったし、早く会いたいよ」 ”明日は朝から夜までバイトなんだ、..明後日の夕方会えないかな?」 「もちろん‼︎学校が終わったら養成所まで行くよ」 ”ありがとう、ルーク好きだよ” 「ボクも好きだよ、カイル...」 電話を切った後もルークの心は温かい気持ちで一杯だった。 ーーー月曜日の夕方 ルークは学校を終えると足早に養成所へ向かった。 養成所のビルへ着くと彼は外の入り口付近でカイルを待っていた。 暫くするとカイルがやって来た。 「ルーク、ごめん‼︎待ったかい?」 「大丈夫だよ」 二人は見つめ合ったが周りの目を気にし、その場を離れた。 バスに乗ってカイルのアパートに行くことにした。 バスの中で二人は人目に付かないように手を繋いでいた... 幸い、バスには乗客があまり乗っていなかった。 カイルの手は相変わらず少し冷たかった。 「ハンドクリームありがとう、だいぶ良くなったよ」 彼は優しくルークを見つめ微笑んだ。 そして、ルークは少し照れてはにかんだ。 ーーー 「今日はアイスコーヒーでいい?」 「うん、..あっ、うちの家族が今度君を連れて来なさいって..友達になったって話したんだ」 「嬉しいよ、ありがとう」 カイルは二つのアイスコーヒーのグラスを持ってやって来た。 一つをルークに渡すとカイルは彼の隣に座った。 「..いつかお互いの家族にボク達の事、話せたらいいね」 そう言うとルークは彼を見つめ、そっと手を握った。 「そうだね」 カイルは彼にキスをした...二人はグラスをテーブルに置くとお互い腕を身体に回し抱き合った。 「...カイル、どうしよう..ボクもう我慢出来ない..」 ルークはズボンの上から彼に確認させた。 ソレは既に硬くなっていた... 「ふふっ、僕もだよ」 ルークにジーンズの上から触らせると同じように硬くなっていた。 カイルは彼の手を引いてベッドへ移動した。 ルークをベッドに座らせると、彼のベルトを外しズボンと下着を脱がせた。 「カイル..恥ずかしいよ」 「大丈夫だよ」 彼は優しく微笑むと、ゆっくりとペニスを口に含んだ... 「..っあ‼︎」 ルークは思わず声が漏れてしまった。 彼のフェラはとても気持ちが良く、慣れた感じだった。 暫くするとカイルが自分のジーンズと下着を脱いだ。 そして机の引き出しからコンドームを取り出した。 「コレを使って」 ルークは言われるまま、ゴムを着けた。 カイルはローションを取り出すと自分のアナルに塗り、座っている彼の上に挿入はせず、対面座位の形で向かい合い座った。 「ルークの入れてもいいかな?」 「うん..カイルの中に入りたい...」 カイルはニコッと笑うと彼のペニスを自分のアナルにゆっくりと挿入した。 ルークは初めての感覚に頭が真っ白になりそうだった.. 「ルークのスゴい..っ、気持ちいい...」 「..カイルの中も...すごく気持ちいいよ..おかしくなりそう」 二人の息遣いが荒くなる。 カイルは腰を動かし、ルークは彼のペニスを扱いた。 カイルはsexにとても慣れていた。 「..カイル、ボクもうダメ...っっ‼︎」 「いいよ、出してルーク」 カイルは彼にキスをした。 そしてカイルは彼のペニスを抜くと、自分のペニスを扱いた。 「..んっ、僕もイクよ...」 「カイル、ボクの口に出して..」 ルークが口を開けると彼はルークの口に射精した。 ルークは彼のペニスを優しく口を使って綺麗にした。 そして二人はキスを交わすと抱き合った。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!