閉音

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閉音

体育の時間が来て外で準備運動をしてる、普段運動をしないせいか準備運動だけで疲れてしまうのをどうにかしようとは思ってるが思ってるだけでどうもならない、科学がもっと進歩してこの悩みが解決するのを待つのが1番早い気がするのでとりあえずこのままで良いやと思ってしまう そんな俺に近寄り嬉しそうに話す君 「やっとこの時間が来たー!もう楽しみで数学も英語もそっちのけだったよ!」 「ほんとたかがソフトボールにそこまで熱くなれるよな、不思議だわ」 「んー、どうしてだろうね、自分でもわかんないや!」 明るい音が聞けてまた楽しい気持ちになった、この音はやはり君に届いているのか…? 「プレイボール!」 体育の先生の普通の人よりかなり大きな声がグラウンドに響き渡る、どこから出してるんだこの声は、マイクを使っても勝てる気がしない… 試合は進み、僕の打席 「がんばれー!打てるよー!」 なぜか守備側に居る君からの声援、おかしいだろ、敵から応援されるという不思議な経験とともにフルスイングを3回、ベンチへ重い足取りで帰って行った 攻守が交代し君の打席が回ってきた、本当は大きい声で応援したいけど何かが邪魔をするので心で叫ぶ 結果は僕と同じ、少し悲しそうな君にかけより励ましの言葉を送ろうと走った 「ドンマイドンマイ!良いフルスイングだったよ!次は打てるさ!」 爽やかな声に最高の励ましの言葉、何もかも完璧だ お気づきだろう、僕ではなく野球部の彼が送った言葉だ 「ありがとう!次も頑張るぞー!」 いつも通り君は最高の音だ、ただいつもと違った、立ち止まり後ろを振り向いて彼を見つめる君の音が僕にはわからなかった それどころか君の音がどんなものかがどんどんわからなくなってきた、君の音を聞きたいのに聞こえない、わからない、どうしたんだろう 青すぎる空を見つめてそっと一息、どれだけ綺麗な景色もその中身が綺麗とは限らない 最後に君の音が聞こえた気がした、僕の今の気持ちに答えをくれたんだと思う 「今日は…今日は…諦め日和だ」
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