始まりと終わりと

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 突然のことに固まってしまう律香。 「めちゃくちゃ嬉しい」  航は律香の様子に構うことなく額に彼の額をくっつけてきた。 彼の温かい吐息がかかるほど近い。 心臓が口から飛び出してきそうなほど、激しく鼓動し始める。 「せ、先生、近いです……」  こんな経験ははじめてのこと。 どこを向いてよいのかわからず困ってしまい、視線を落とした。 「本当に可愛い」  航は撫でるように優しく額同士をスリスリと擦り合わせる。 「皆月さんと付き合えるなんて夢みたいだ」  夢みたいだと思うのは律香の方。 「そんな……」 「好きだよ」  この時の律香は確実に舞い上がっていた。 誰もが憧れる航に愛を告げられて。 航の特別な女性(ひと)になれた気分だった。  航の唇が律香の唇に重なる。 はじめはビクッと震えた。 それでも丁寧で優しいキスに、緊張でいっぱいなくせに受け入れたいと思い目を閉じた。
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