始まりと終わりと

15/24
前へ
/76ページ
次へ
 このような状況になってしまった時、異性慣れしている者ならきっと上手くあしらえたに違いない。 もしくは一夜限りの遊びとして、軽い気持ちで身を任せるはずだ。  しかし律香は高校・短大と女子校を出ており、異性慣れしておらず、恋愛経験も乏しい。 その上、いつか自分にも素敵な王子様が現れるかもしれない……という年の割に純粋で、恋愛に対して憧れを抱いていた。 遊びとは捉えられない。 航の魅力に簡単に引き込まれてしまう。 首をコクリと縦に振る。 すると、次の瞬間に航は律香の唇を塞いだ。 「んっ……」    彼の柔らかい唇が、律香の唇に押し付けられる。 何度も何度も……。 まるで離れたくないというようにキスを繰り返す。  苦しくて口を開けると、柔らかくて温かい舌が侵入してきた。 それは、ゆっくりと律香の口内をかき回し、まるで別のいきもののように動く。 すっかり緩んだ口の端から唾液が溢れた。 それをジュルッと音を立ててすする航が色っぽくてゾクゾクした。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4473人が本棚に入れています
本棚に追加